あれから40年 その(3)

今日のテーマは、 (3) チリの教育問題と今後の課題。これで、「あれから40年」シリーズを終わろうと思います。

チリの教育問題といえば、学生ストが約5年前から全国規模で起こっています。彼等の要求は、「質の高い教育」と「無償高等教育」です。
これらの運動の原因は、チリ社会における不平等が問題とされています。中南米地域は、世界で最も社会的不平等が存在すると言われており、チリはその中でも、トップレベルの不平等率を持っています。

(上下トップ10の給料の差による不平等を示したグラフ, OECD, 2010年)

この数十年の間、チリ経済は飛躍的に成長しました。大きな理由としては、自由経済主義(ネオリベラリズム)と教育のプライベート化が挙げられます。
チリの教育は、私立教育に力を入れていることで有名です。具体的には、チャータースクール(公立+私立のような体制)が国の大半を占めています。(公立校37%、私立校8%、チャータースクール55%)

チリ教育省(MINEDUC)によれば、ここ数年、学校・教師・生徒に対する評価制度は進歩を示しており、教育制度の改善の見込みがみられるとのこと。しかしその反面、低い評価を受けたことにより、教育システムからの撤退を余技なくされていることも問題になっています(学校閉鎖、教師と生徒を辞めさせる等)

チリの教育制度を包括的に改善させるための将来の課題としては、経済的な進歩を保ちながらも、社会的マイノリティーの声を聴きつつそれに対応することだと思います。皮肉なことに、政策を作る立場にいる人は、大半がエリート層であり、現状を変えるためには、社会の逆側にいるマイノリティー層の立場を考慮しないと、どうにもならないということです。
チリのケースは、私達に「教育はマーケット化されるべきなのか」という質問を投げかけています。もちろんそうあるべきではないのですが、多くの国では、そういった傾向が見られています。そういった意味でも、今後の学生ストライキと、新大統領による対応策の動向が注目されます。

前回の初期選挙によって70%以上の投票を獲得したミシェル・バチェレット氏は、ほぼ間違いなく次期大統領になるとされています。彼女は、独裁政治時に拷問を受けた経験、元UN Womenのトップという経験を持ち、社会的マイノリティに対して比較的寛容であると信じられています。

「あれから40年」シリーズはこれで終わりますが、まだまだ未解決の問題が山ほどあります。社会主義・独裁政治・新自由主義・教育の自由化・社会的不平等など、いろいろな要素を含んでいる国ですが、今後の動向が楽しみです。

アンデス山脈と海に囲まれたチリの赤ワインは安くてとてもおいしいです。

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