全ては小さな一歩から―私立教育も然り

全ては小さな一歩から始まる。

3つのものが原因で、私立教育について考えさせられました:
(1) チリの教育
(2) 公立と私立について書いた本
(3) ついこの間訪問した学校

まず始めに、チリの教育システムでは公立が5割、私立が5割(私立助成校と完全私立校)であり、日本で公立の義務教育を受けてきた自分にとってはあまり馴染みがなかったので、この国に来てからは私立教育とは何なのかということについて考えるようになりました。

次に、「ラテンアメリカにおける私立教育と公立のポリシー (Educación Privada y Política Pública en América Latina)」(筆者 Laurence Wolf, Pablo González, Juan Carlos Navarro. PREALC & IBD. 2005年)という本を読んで私立教育へのイメージがかわりました。
この本は私立と公立の長所と短所を淡々と述べており、勉強になりました。正直言うと、私立は商売であり、金持ちだけのものと思っていました。あながち間違ってもいないかもしれませんが、この「商売」システムのおかげで、「顧客(保護者や生徒)」を意識し、常にシステムを向上させなければ顧客は去ってしまうという面があります。これに関しては、公立には「破産」がほとんどなく、常に変わるニーズに迅速に対応しにくいといういう点では私立特有の利点かと思います。教育開発にもっと従事するなら、公立と私立の両サイドに目を配る必要があると自分で思いました。

最後に、つい先日に仕事で学校訪問をしましたが、この訪問がかなり自分の私立教育に関する考えを変えてくれたかもしれません。この学校は創立10年以下である私立助成校ですが、学校の判断で学費を徴収していません。この概念はじぶんが抱いていた「公立は庶民、私立は金持ち」という固定概念に反しており、少し意外でした。実際のところ、生徒の家族はほとんどが貧困層に属しています。

簡単にこの学校の素晴らしいところを説明します。
この学校は4人の理事長兼教師(みんな家族)のもと、4つの教室と60人の児童ではじまりました。偶然にも数年後に実施された政府の移住プログラムによって人口が増加し、生徒は10年以内で550人に増えました。

それに伴い、学校側は後者の拡張を必要とされましたが、教育省は建設費用は大体築20年で出しているものの、ここまで短期間での拡張は前例がなかったため、資金を獲得することができませんでした。

そこで4人の理事長がとった行動は、自腹をきって銀行にローンをしたお金で建設にあてるというものでした。彼らに言わせると、「生徒数がどんどん増えて、必要性に迫られたときは、彼らのために全力を注ぐのみである」というものです。

全員が教師である理事長の一人はスクールバスの運転手まで兼任しています。彼らは法的手続き、建設または校内維持などを自分たちで勉強しながら行い、他の職員も意欲的に彼らをサポートしているようです。これらの背景は、まず予算が足りないということ、そして何より彼らが学校のために何かをしたいという気持ちが強いからです。自分が見た感じでは、職員の絆はとてもアットホームで、間違ってもビジネスライクな雰囲気はありませんでした。

重複しますが、これは私立学校です。

そして最も大事なのが、同校の生徒の成績平均(SIMCEという国内学力テスト)がチリ国内でもトップクラスであることです。そのために同校では干渉を受けることなく自治権を与えられており、そこでまた自分たちだけの教育プログラムを組み立てることができています(テストの成績が悪い場合は、教育省の管理が厳しくなる)。

結論としては、理事長達の学校に対する情熱と愛が他の職員や生徒を奮い立たせ、それが学びに繋がったのではと思っています。(もちろんテストは学びの一部でしかありませんが。)

全ては小さな一歩、そして深い情熱から始まる。私立教育も然り。

学校の写真:
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