モーリタニア 2ーラマダーンと生活リズム

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モーリタニアに来てから初めてのことだらけですが、ラマダーンはまさに未曾有の経験の一つです。

知識としては知っていましたが、イスラム国家にこれまで住んだことが無かったので、実際にこの目でラマダーンを実践する人と行動を共にするのはインパクトがありました。

実は、人生のターンイングポイントの一つであるモーリタニアには、ラマダーンのちょうど1週間前に到着しました。

ラマダーンとは何か

率直に言うと、イスラム教の聖なる月(ムスリム歴の9ヶ月目に相当)で、適齢信者(病人や妊婦を除く)は日の出から日没までの日が出ている間は食べない、飲まない、喫煙しない、性行動をとらないというものです。

最初は、なぜそんなことをするのか問わずにはいれませんでしたが、同僚やネットの情報によると、神に近づき奉仕やありがたみの精神を養うことが目的だそうです。

日没後は、待ってましたと言わんばかりに食べて飲むので、自然と寝る時間は遅くなります。ということは、日常の生活リズムがガラッと変わってしまいます。生活リズムは生きる上でとても大切なので、実際、ラマダーンがどんな変化をもたらす可能性があるかについて簡単に述べてみたいと思います。

その前に、宗教上の習慣を批判するつもりは全くないということを注釈として述べておきます。それどころか、モーリタニアのラマダーンに触れることで、筆者が日頃大切にしている食事・睡眠・エネルギー充電や仕事に関して改めて考えさせられたため、どちらかという感謝の気持ちが大きいと思います。また、同僚たちを見ていると、明らかに疲れているにも関わらず、不満を言うことは禁じられている(習慣として不適切)ため、そういった意味でも我慢強さに関心させられました。

とりあえずまずは食事から。

食事サイクル

体の中に実際に入れる食事は、人生の質向上のためにも大切だと自負しているため、個人的に非常に興味のある分野です。ただ、食事や栄養における記事や研究を読めば読むほどわからなくなることもあります。ある研究によれば、XXX(例:赤身肉)は体に良いという結果を示しているものもあれば、他のリサーチでは全く逆のことを言っていることもあります。(一般的に同意があるものといえば、飽和油は害あり、また野菜やナッツ類を豊富にとることは吉、等)

NYタイムズの記事“When We Eat, or Don’t Eat, May Be Critical for Healt”によると、多くの栄養学者は既述の通り、何が体に良いか悪いかについて議論を重ねてきていますが、中には「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」について研究する学者も増えてきているそうです。

研究によると、1日の食事サイクル幅(1日の初めと終わりに口にものを入れる時間の幅)は8−10時間が適切であるものの、平均として現代人は15時間のサイクル幅を持つようです(早朝のコーヒーから晩酌のワインまで)。

一方、食事サイクルとサーカディアン(概日)リズム(約24時間周期の体内時計で、いつ寝て起きるかを示してくれるもの)をできるだけ一致させることの重要性も研究から推奨されています。例えば、夜遅くにスナックを食べたりすることは 体重増加や代謝悪化に直接つながってしまいます。夜間シフト勤務も肥満やガン、心臓病などに関わってくるため、気をつける必要があります。もちろん、貧困や社会的な理由による要素も関わってきますが、不適切なリズムで食事を摂ることは、健康の敵ということになります。

ということで、ラマダーンによって食事リズムがくるってしまうことはよくない!

と断言できるのかというと、そうとも限りません。別の研究(資料:NYタイムズの別の記事”Fasting Diets Are Gaining Acceptance“)によると、定期的(例:月に2−5日の絶食)な絶食は、糖尿病・ガン・および心臓病防止に良いという結果も出ています。

要するに、白黒はっきりさせるのは難しいようです。

睡眠サイクル

人生の3分の1を過ごす(べき)睡眠も人生の質を左右アップダウンさせる重要な要素で、筆者の興味分野の一つです(学士論文は睡眠の質について書いたぞう!)。

こちらの分野でもまだまだわかっていないことがたくさんあるようです(例:そもそもなぜ眠るのか、なぜ夢を見るのか、等)。そして睡眠の質を定義するのもまだまだ難しいようです(睡眠学者でも難しいなら、へっぽこ学士の論文など埃にもならないですね)。

食事と同様、これだけは正しいだろうという研究結果もあるようで、それらは以下の通りです:

  • 大体8時間睡眠を、暗くて静かな部屋で寝ると良い
  • スクリーン(LED)は寝る30分前は見ない
  • 概日リズムを意識してなるべく同じ睡眠サイクル(例:22:00-6:00) をとること。

その他のデータによると、現代人は前世紀と比べても睡眠時間が短いのは明らかのようです。その理由も長時間労働、携帯電話・パソコン・テレビの見過ぎ等と納得です。なので、ラマダーンは睡眠の大切さを教えてくれるリマインダーという役割も担っているように思えます(ムスリムの同僚によると、ラマダーン終了後は、それ以前よりもよく眠るようになったと言っています)。

日常の行動サイクル

睡眠サイクルが狂うと、他の日常の行動(運動、仕事、人付き合い)にも影響が出てきます。筆者の例でいうと、健康維持、ストレス解消または仕事の効率化も兼ねて毎朝6:30-7:30には運動するようにしており、なるべく8時間睡眠を心がけています。つまり、もし22:30以降に寝ると、翌朝の行動に大きな影響が出て、それが1日のリズムを完全に狂わせてしまいます。

一方、現代人は基本的には9時ー17時の勤務時間になっています(中にはより柔軟な職場も出てきていますが)。ラマダーンだからといってこの時間が変わることはないので、ラマダーン中は飲み食いする時間、就寝時間が遅くなるものの、出勤を通常通りにする必要があるの自動的に睡眠時間が少なくなってしまいます。同僚を見ていると、日に日に疲れが溜まっていくのは一目瞭然でした。

また、冒頭で述べたように、モーリタニアに着いたのはラマダーンの直前だったので、仕事内外でいろんな手続きがありました。特に公共期間の手続きの遅さは衝撃的なもので、困難極まりなかったのを覚えています(例えば、運転免許の書き換えの作業で、5回も公共タクシーに乗って交通省にいくハメになりました)。

また、教育のある分野で受講していた講座の内容を普及するために、同僚に対して研修を実施しなければなりませんでした。しかも、ラマダーン終了の前日(1ヶ月の疲れが溜まりに溜まった日)。疲れた同僚を前に、なるべく実践的かつエネルギーを消費しすぎないような活動を取り入れるなど、今まで実施した研修の中でも最も難しいものになりました。同僚の前で水を飲むのも気が引けたので、こそこそ隠れながら水を濯ぐというのを続けるといった状態が続き、仕事のはかどりにも影響が出ていました。

基本的には同僚同士では「Bon Ramadan(良いラマダーンを)」という挨拶が飛び交っていました。皆良いラマダーンが過ごせたんだろうか・・・

ラマダーンが良いものだったかは自分ではわかりませんが、とにかく生活の質を反映する警告的な役割だったのは間違いないです。

あなたの生活サイクルはどうですか。

今回の学び 

今回学んだのは、ラマダーンは宗教上の習慣だけではなく、非ムスリムに対しても人生の質ー食事、睡眠、日常の活動のリズム等ーについて再検討させてもらうリマインダーの役割をも果たしているということ。

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