オーガナイザー (3) ー インパクトを与えるためのパフォーマンスのオーガナイズの仕方

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自慢したいわけではないですが、これから述べことの裏付けにもなり、少しでも読者の注意を引けることを願って。

色んな国でパフォーマンスをして、賞を勝ち取ってきました。
優勝したものの具体例をいくつか挙げると:ニューヨークタレントコンテスト(決勝戦は、料理とダンスを融合させて、少し変わったことをしました);アメリカの大学パフォーミングアーツ部主催のハローウィーンコンテスト優勝(自分で衣装を作って、傷ついた侍がブレイクダンスをするという設定);アジア・太平洋地域のプレゼンコンテスト(全てのスライドを自分の絵にし、テキスト一切無しで、5,000 USD獲得);モンゴルや日本におけるストリートダンスコンテスト、等。

もともとパフォーマンスに長けていたのかって?いいえ、違います。
身体能力に恵まれていたのかって?全く(昔は運動神経が秀でていたわけでもなく、太った根性無しの時代もありました)。
小さいころから表現することに慣れていたのかって?いいえ、ダンスを始めたのも19歳のころです。

じゃあそんな並外れたタイプでもない奴がどうして賞をとってきたんだ?

それは、パフォーマンスをオーガナイズすることを学んだからです。

今日では、以前にも増してアイデア、プロジェクト、セールス等、色んなものをプレゼンしてパフォーマンスする必要性があるように思えます。他人より秀でる必要があるということですが、なかなか容易ではありません。ということで、今回の記事では、筆者のダンサーを軸とした経験をもとにパフォーマンスにおけるオススメを紹介したいと思います。

パフォーマンスとは何なのか

ノウハウについて話す前に、まずはパフォーマンスとは何なのかについてみてみましょう。

Oxford living dictionaryによると、パフォーマンスの定義:
「劇やコンサート、他のエンターテイメントなどをプレゼンする行動(An act of presenting a play, concert, or other form of entertainment )」

なーんだ、俺(私)はアーティストでもないから関係ない、という人もいるかもしれませんが、実はもう一つ定義があります:
「タスクや機能をこなす行動やプロセス(The action or process of performing a task or function)」

ということで、もちろんアートもパフォーマンスの大きな要素の一つですが、基本的には、何かをプレゼンする行動やプロセスでもあり、パフォーマンススキルは色々な分野で適用できると言われています。

今回の記事では、ダンス、具体的には2種類(ショーとバトル)のパフォーマンスについて述べたいと思います。

(1) ダンスショー: オーディエンスのためにするダンスパフォーマンス。一般的にはステージ上(マストでもない)で行われ、2〜10人くらいのチーム(1人や10人以上のこともあり)で、チームが決めた音楽で振り付けを作って披露するというものです。

(2) ダンスバトル: 個人またはチームでダンスを見せ合って戦うもの。成り行きで行われるバトル(数人で輪を作って、誰でもいいから輪の中に出てきて自分のダンスを披露するもので、大体はジ審査員はいない)と、あらかじめ決められたバトル(審査員が勝者を決め、順番に戦っていくもの)があります。ショーと違って音楽はDJがかけるので、どんな音がかかるかはダンサーにはわからないので、アドリブが求められます。

まとめると、(1)は同じ音楽をもとに振り付けを作って準備するもの、一方で (2)は何がかかるかわからない音楽にのって自分を表現するアドリブ合戦。最近では、振り付け(1)をバトル(2)に混ぜたり、バトル(2)においても(音楽のタイプに関係なく)同じ動きをひたすらするダンサーも増えています(まぁ、好みですが、基本的に筆者はこの傾向をあまり好ましく思いません)。

そもそも何故パフォーマンス

既述の通り、職場やアートを含めて、パフォーマンスをする機会が増えていますが、とにかく他の人と比べて秀でないと、高いパフォーマンスとして認められないため、知識やスキルに加えて、パフォーマンススキルがもとめられています。特に、インターネットやユーチューブの進出で、ほぼどんな知識やスキルでも学ぶことができる時代になりました(ブラボー!)が、それはまた、多くの人にとって豊富な知識やスキルを身につけやすくなったことを意味します。

良いパフォーマンスをしたときは、オーディエンスに満足感を与え、パフォーマンスのやりがいと喜びを感じることができます。また、パフォーマンススキルは、これから益々必要となると言われている21世紀スキル(クリエイティビティ、表現力、問題解決能力、批判的思考、コミュニケーション、等)と密接に絡んでいます。

例えば、読者の中にも、今までにダンスショーを観て、とにかく他の人よりも一際目が引くダンサーを見つけた経験はあるかと思います(表情や僅かなジェスチャーや、または原因すらわからないけど惹きつけられる何かがあるなど)。

ダンスバトルに関しても、すごい技やスキル、身体能力を持っているダンサーはたくさんいますが、一部の人のみが目立つという点で類似するところがあります。

筆者の観点からは、スキルがあるにもかかわらず勝てない人と、そこまでスキルに秀でているわけでもないのに勝ち残る人の違いはこれだと思います:前者は自分が見せたいものをするのに対し、後者はオーディエンスが観たいものを見せる。

少し掘り下げていきましょう。

パフォーマーが見せたいもの

全てのパフォーマンスをする際に、パフォーマーの狙いというものがあります。自分が最近覚えた動きを見せたい、もしくは少しでも多くのものを出したいなどがあります。スキルや技を身につければ身につけるほど、それを披露したいというのは最も自然なことだと思います。

ダンスショーについて少し詳しく説明すると、準備の流れとしては (1) メンバーを決める、(2)どんなショーをするか決める、(3)音楽を決める、(4)誰が振り付けを作るかを決める、(5)全部繋げて練習する、といったものです。なので、メンバーが多ければ多いほど、それぞれの狙いや興味が増えるため、うまく機能すれば多様性を見せることができますが、なかなかそう簡単にいかないことも多く(例:それぞれの好みの音楽や振り付けといった、違った興味がぶつかる)一つのショーとしてのまとまりがなくなることが多い気がします。

一方、ダンスバトルに関しては、あまり準備をする必要がないのでそういう心配もありません(というよりも、準備や決まった動きを事前に作れば作るほど、本番何がかかるかわからない音楽へのアドリブに対応できにくくなります)。

両者に共通しているのは、パフォーマンス時間が制限されているということで、制限時間内で他のダンサーより良い印象を残す必要があります。そこで起こりやすい間違いは、とにかく自分のやりたいことを詰め込みすぎて、オーディエンスのことを考えなくなってしまうということです。

オーディエンスが観たいもの/観たくないもの

あまりにもたくさん詰め込みすぎると、オーディエンスの観たいものではなく、パフォーマーのエゴになってしまいます。これは、脳がどのように機能するかにも関わってきますが、次の数字を見てください:

100 VS 3

何を意味すると思いますか?

100: パフォーマーが見せたいもの/オーディエンスが観たくないもの
3: オーディエンスが観たいガツンとくるもの、そしてショー後も覚えているものの数

数字そのもの (100 と 3)には科学的な根拠はありませんが、要点としては、多くのパフォーマンスにおいて、パフォーマーはとにかく詰め込めば詰め込むほど良いと思いがちで、じつはそうではありません(少ない方がパワフルという、Power of Lessにも関わっています)。実は、多くのものを見せれば見せるほど、何が大切なのか見えなくなってしまい(そもそも人間は多くのものを一度に頭に取り入れられない)、一つ一つの動きの質も劣って見え、ついにはオーディエンスが飽きてしまうという事態にも陥ります。

ダンスショーの例をとってみてみましょう。

3分のショー(大体のショーは3−5分)で100個のアクロバティックをしたとしたら、一つ一つの価値が下がってしまいますが、ここぞという時に2-3個のアクロバティックをしたときは、オーディエンスにとってもインパクトがあり、記憶に残るものになります。

オーディエンスのタイプによっても、何を見せるか調整する必要があるため、とにかく聴衆は誰なのか、何を求めているのかということを分析することが大事になってきます。

そもそも筆者はどうしてこれらを理解することができたのか?
答えとしては、これまで100回以上のパフォーマンスをしてきましたが、それ以上に何千回ものパフォーマンスをオーディエンスとして観て、良いパフォーマンスと悪いパフォーマンスを分析し、違いは何なのかを問い続けてきたからです。そして自分の中で出た答えが、上述の100 VS 3のルール(悪い VS 良い)です。

なので、大事なポイントは、オーディエンスの立場になってものを考えるということで、そのための一番の方法は、自分のパフォーマンスの分野のオーディエンスに実際になって、良いものと悪いものを違いを分析することです。そして、そこで学んだヒントを自分のパフォーマンスで実践する練習をして、オーディエンスやフィードバックを見る。言い換えると、聴衆になってセオリーを勉強し、実践で試し、そのサイクルを繰り返すというものです。

聴衆の立場でものを考えるのは大きなキーポイントの一つですが、他の大事な点は、他のパフォーマンが何をするのかを知ることです。

他のパフォーマーがしそう/するなこと

オーディエンスのために何をするかを決めることは、「何をしないかを決めること」と同様に重要になってきます。重複しますが、良いパフォーマーは、他から秀でます。言い換えれば、他を知れば知るほど、良いパフォーマンスをする準備をすることができます。

ダンスショーでいうと、他の人が予想だにしないことをすることも勝利のコツになります。筆者の例を挙げてみると、大学対抗ショーコンテストのために、12-13人くらいのチームに参加した時の話です。それまでのショー作りのプロセスとしては、3−4つの音楽をつなぎ合わせて、それぞれのパートの振り付けを各担当者が作るというものでした。ただ、今回は大学対抗ということで、他の大学チームに比べて、(筆者も含めて)スキル面では劣ることはわかっていたので、これまでの流れを変えて、(メンバーの誰かが提案した太鼓のみの)一つの音楽を使用し、とにかく変わったことをしようということを提案しました。すると、前例のない提案にほとんどのメンバーは反対しましたが、徐々に同意を得ることができ、日本の伝統的な祭りというテーマをもとにブレイクダンスのショーをすることになりました。同じ音楽とコンセプトのもとに、各メンバーが試行錯誤をして作り上げたショーで、本番も特別賞を勝ち取ることができました(審査員からのコメントとしては「一度見たら忘れられないショーだった」というありがたいものでした)。

一方、筆者が優勝した大学対抗ダンスバトルの例を挙げて見ます。とにかくライバルチームを分析し、アクロバティックで攻めるチームが多いことに気づき、戦略を練ることにしました。筆者も多少はアクロバティックの動き(ブレイクダンス業界では「パワームーブ」と呼ばれる)をすることはできたのですが、他のチームには対抗できるものではないため、一切パワームーブを使わないことを決め、シンプルかつユニークな動きで、音楽に乗せたダンスで攻めました(パワームーブを主流とするダンサーはあまり音楽に乗らない傾向にあったため)。最終的には、どのチームも素晴らしいパワームーブを見せましたが、結局のところ、皆に似た動きに見えてきたためか、少し違いを見せた筆者が優勝することができました。

なんとなくポイントは伝わったでしょうか。
ただ、他の人がすることに対応して動きを変えるためには、自分のキャパを幅広いものにする必要があります(例えば、音楽に乗って踊るダンサーばかりのときは、逆にパワームーブを混ぜて少し違いを見せつけるなど)。

パフォーマンスにおけるオリジナリティ

これまで、オーディエンスや他のライバルを意識するように述べてきましたが、自分の魂まで他人に売ってやりたいことをするなというわけではなく、やりたいことをやりながらも、同時にオーディエンスのみたいものやライバルのやらないようなことに意識し、上手にオーガナイズする必要があるということがポイントです。

パフォーマンスをオーガナイズする方法

これまでのまとめとして、以下がダンスショーやバトルにおける、パフォーマンスのオーガナイズの仕方です:

  1. オーディエンスについて学ぶ
  2. ライバルにつちえ学ぶ
  3. 自分について学ぶ(自分のしたいこと、できること)
  4. これまでの1−3を考慮して、やるべきこと(やるべきでないこと)を分析する(例:一つの音楽とコンセプトをもとにショーをする)
  5. とにかく練習
  6. アドリブをする訓練と経験を積む(特にバトル)
  7. 楽しむ(結果は二の次)

もちろん、オーガナイズすることのみに集中しててもあまり勝てないかと思います。前提として大事なのは、基本的なスキルとクリエイティビティを鍛えておき、オーディエンスの前でパフォーマンスをする経験を積むこと。上記のオーガナイズのオススメは、それらのスキルや経験を、一つの作品としてよりよく見せるためのものです。

今回は、ダンス(ショーとバトル)に焦点を置きましたが、これらのルールは他のパフォーマンスにも十分共通するところがあると思います。それらについては、今後のオーガナイズシリーズ(今回は第3弾)でも触れていければと思います。

今回の学び 

パフォーマンスはオーディエンスがいるからこそ成り立つ。聴衆やライバル、そして自分自身を分析し、何をする(しない)かを決め、練習して楽しめば結果はいずれ出る。言い換えれば、インパクトを出すためにはパフォーマンスをオーガナイズする必要があるということ。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。もしこのブログが気に入った場合は購読お願いします。もしコメントや質問があれば遠慮なくどうぞ。良い学びを!

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