キャッサバを通して世界の繋がりと多様性を感じる

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唐突な質問ですが、キャッサバ好きですか?

・・・は?

と思った方、この記事はそういう人向きです。

いつもプロフィールや講演で「世界5大陸に住んでいた」といってるわりには、アフリカのモザンビークに住むまで、世界を支える存在のキャッサバについてあまり知りませんでした。ここ一年でデンマーク→ブラジル→モザンビーク→日本→インドネシア→日本→モザンビークと移動を経て、ふとしたきっかけで、キャッサバを通じて世界をグッと身近に感じました。

この記事では、実はキャッサバがなぜ普段の生活や世界にとって大切なのか(WHY)、キャッサバを通してどう世界を感じたか(HOW)、そしてそもそもキャッサバが何なのか(WHAT)ということについて紹介していきます。何らかの学びにつながれば幸いです。

WHYーなぜキャッサバ

あまり知られていない「キャッサバ」ひとつとっても世界が感じられるのです。
初めて聞いた時は、「キャッ」で始まる言葉なのでギャル(死語?)を連想したりましたし、サバの仲間かとも思いましたが、普通にパッと見たらあまり特徴のない多年生の植物。

しかし、このキャッサバ、かなり凄いんです。何が凄いかというのをザッとまとめると、こんな感じです↓

①日光を好み、乾燥に強い→温暖化に強い

②肥沃な土地でもない「農業不適切地」でも、もちろん肥沃な土地でも栽培可能→土地利用効率化

③苗以外の初期コストがかからず、栽培や(茎を地中に挿すだけで発根)手入れが簡単→格差是正や貧困問題解決に有効

④世界の主要食用作物(イネ、トウモロコシ、コムギに次ぐ第4の炭素資源としてSDGsの観点からも注目)で世界10億人の食を支える→食料問題の切り札

⑤葉、茎、イモと余すところなく使用できる多目的・多機能作物(栄養価の高い食用、家畜飼料、医学品材料、エタノール減量、糊材量、燃料減量)→全部使える

⑥世界の繋がりと多様性、視野の拡大促進や、おいしい食の楽しみを教えてくれる

(*①〜⑤は『キャッサバの基礎がわかるキャッサバABC 』(JICA. 2016)や理学研究所(Riken. 2022)より参照、⑥は筆者の意見で、このブログで伝えたいこと)

つまり、キャッサバは、世界を守り、世界を感じさせてくれる存在でもあり、手間がかからず栄養価も高くおいしく食べれる、そんなスーパースターなのです。「貧乏人の食べ物」として西洋などではないがしろにされていたこともあったそうです。

上述の参照資料によると、「キャッサバは日頃の生活に関わっており・・・世界で最もキャッサバのことを知らない日本人こそが、誰よりもキャッサバを 必要としており、それなしでは生きることさえままならない」とまで言っています。

HOWーどのようにキャッサバで世界を感じたか

そんなキャッサバとの出会いを紹介します。

そもそもなんでキャッサバに興味を持ったかというと、郷戸料理がおいしいモザンビークで、「マタパ」というキャッサバの葉を使った料理が見た目は緑一色であまりそそらないのですが、味がおいしすぎて感動。そこで少し調べてみようと思ったわけです。

すると、ここ一年で、住んでいたデンマークから色んなところを移動して世界の食事を楽しみましたが、どれも全く見た目も違うものが、同じキャッサバからできたものを食べていたことに気付き、衝撃を受けました。と同時に世界をグッと感じることができました。

  • ブラジル:タピオカ(日本によくある黒い豆粒ではなく、でんぷん粉で作ったザラザラしたクレープ)
  • 日本:台湾カフェのタピオカミルクティ
  • インドネシア:キャッサバ芋の料理とキャッサバチップス
  • コンゴ民主共和国:マタパ(ピリ辛で、まろやかさはない)
  • モザンビーク:マタパ(まろやかさが豊富)、マディオカ
  • ケニア:2020年くらいまでよく食べてたウガリ
  • などなど

WHATーキャッサバとは何ものか

上述の通り、キャッサバで世界を感じるきっかけになったのですが、それもそのはず、キャッサバは世界中に存在し、色んな呼び名があるとのことです:

  • ブラジルやモザンビークなどのポルトガル語圏ではマディオカ(Mandioca)。
  • スペイン語圏ではユカ(Yuca)。
  • アジアで有名な名前としては、あの粒々のタピオカ(Tapioca)。タピオカはキャッサバでんぷん(炭水化物)のことで、日本でよく見る(すでにブームは去った?)タピオカドリンクに使われるのは、このでんぷんを糊下して作ったもの。ブラジルでは上記の通りクレープ系のデザートに使われる。
  • 英語圏ではキャッサバ(Cassava)
  • 仏語圏ではマニオック(Manioc)

キャッサバの歴史:3〜5千年前は中南米で栽培されており、16世紀にポルトガルや奴隷賞によりアフリカに、その後アジア諸国に移り渡ったとのことです。なかでも、キャッサバがアフリカに渡ったのは、3カ国貿易(アメリカーヨーロッパーアフリカ)で奴隷用の食用確保が発端とのこと。日本においても、キャッサバのでんぷんはインスタント製品やビール、医学品など色んなものに使われているので生活にかかせない存在になっているけど、あまり知られていないとのこと(出典:上述参照資料)

そんなキャッサバは以下(2017年の収穫分布図)の通り、世界中の至る所で栽培されています。

Cassava Yield by Country, FAO. 2017)

以上、キャッサバのすごさ、世界との繋がりと正体について簡単に述べてきましたが、どうでしたか。

キャッサバって名前は聞いたことあるけどあんまピンとこない、程度に思っていた筆者でしたが、あるきっかけから色んな学びに繋がり、世界の繋がりと多様性、視野の拡大促進や、食の楽しみを教えてくれる経験になりました。

ただ、この記事を読んで、

「キャッサバすげー」

と思ってパクッと食べる・・・のは要注意です。

実は、生でキャッサバの葉を食べると牛でも死んでしまうほどの毒があるそうです。なので、柔らかくしてから天日干しや湯沸、発酵などで毒抜きをします。

それに関連して、最後にもうひとつ、モーザンビークでキャッサバに度肝を抜かれたことがありました。

「マタパ(上述のキャッサバの葉を使ったおいしい郷戸料理)の作り方教えて欲しい」

と現地の人に頼んだところ、

「いいよ。でも料理開始準備に30分以上かかるよ。」

なぜ?

と思った正体がこちらです。なんと、日本の餅つきで使うような巨大な臼と杵で、「これでもか」と何度も突いて柔らかくしてから処理するのです(以下の写真)。餅つきと違うのは、こねてくれる相棒がいないので、ほぼ一人プレー。

↑はマタパ作成のプロセス(調理プロセス以外)です。以下の材料をにこめて時間をかけてじっくり煮込んで作ります。アフリカにも色んなマタパがあるみたいですが、いくつか食べ比べましたが、モザンビークのはとにかく美味しいです。とくにレストランの味よりは家庭の味の方がうまい。

  • キャッサバの葉(処理後)
  • にんにく
  • 鶏がらスープの素
  • ココナッツミルク
  • ピーナッツパウダー
  • お好みで玉ねぎなど
  • 好みに合わせてエビ、カニなど

とりあえず今回は以上です。キャッサバ一つでここまで世界を感じれるなら、世の中はきっと学びのきっかけだらけで、アンテナさえ張れば色んな学びに繋がるのではないでしょうか。

今回の学び

キャッサバを通して、世界の繋がりと多様性、視野の拡大促進や、食の楽しみを教えてくれる学びにつながった。世界はきっとアンテナさえ張れば学びのきっかけだらけ!

最後まで読んでいただいてありがとうございます。よいまなびを!

えむD

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