SDGsに関する大学院集中講義を教えて得た学び

🇬🇧English 🇯🇵日本語 🇪🇸Español 🇫🇷Français 🇧🇷Português

先生、ありがとうございました。たくさんのことを学びました。

これは、私が筑波大学大学院で非常勤講師として教えているSDGsコースの受講生からの嬉しいコメントでした。

SDGs(持続可能な開発目標)には、何をすべきか迷うほど多くのことが含まれており、貢献する方法はたくさんあります。 この記事では、私が SDGs の少し型破りなコース内容を教えている理由、コースの説明、そこからの学びを簡単に共有します。 SDGs は全ての人にとって重要な問題ですが (理論上はそうですが、なかなか実際にはそうではないケースもあります)、多くの人にとって依然として複雑であるため、これらのグローバルな目標をもう少し噛み砕くのに役立つことを願っています。

なぜSDGs?

SDGsコースに触れる前に、そもそもなぜSDGsなのか?

簡単に言えば、私たちの住むこの地球は多くの点で危険にさらされており、長期的に地球を維持するために、理解、計画、行動、協力する必要があります.

横文字や数字だらけで嫌気をさすかもしれませんが、SDGsには17のゴールと169のターゲットがあります(SDGsについて詳しく知りたい方はこちら)。 (筆者の主観による)よくある誤解は、全体として考えるのではなく、それぞれの目標を分離しすぎることです。(筆者の主観による) 共通の課題は、この大規模な目標に対して具体的な方法で貢献する方法が分からないことです。 もちろん、具体的な行動は特定のターゲット/目標に関連していますが、多くの物事 (学習、仕事、生活)と同様、単独ではなく色々ことが密接に関連しています。

この SDGs コースを教える理由

講座名は「中央ユーラシアSDGsセミナー」。

筑波大学が中央アジア(ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスタンなど)からの留学生を対象に実施しているNipCA(日本財団中央アジア)プロジェクトの一環です。

主なきっかけとして、2020年にNipCAイベントで講演させていただく機会がありました。その後、国際開発(NGO、国連、ODA など)での実務経験に基づいて、 1 単位のこの集中短期コースを英語で担当するよう依頼されました。リクエストとしては、理論および実践的なレベルでの SDGs に関する講座にしてほしいということ。

留学生向けの大学院でSDGsに関連する幅広いテーマ(後述)について教え、何らかの形でSDGsに貢献することは興味深く、色んな学びになると考えたので、このオファーを受けることにしました。

SDGs講座の内容は?

既述の通り、SDGs に取り組むにはさまざまな方法があります。以下はのコース内容は一例に過ぎませんが、今回取り上げたのは、グローバルな目標、教育と学び、パラダイム シフト、開発と緊急、ライフスキルとウェルビーイングなどを結び付けることで、グローバルな目標を色んな視点で見るということです。

コースの説明

SDGsをめぐる課題は、さまざまな視点から検討する必要があります。 SDG 4 は教育と学習に関するもので、「すべての人に包括的で公平な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としています。21 世紀の新しいテクノロジー、グローバル化、新しい仕事のニーズ、および長寿化により、教育は、関連する幅広いスキル、態度、経験を身に付けるために変化するパラダイムシフトの必要性に直面しています。これは、世界中の学校を閉鎖し、教え方、学び方、働き方、生き方を変えることを余儀なくされた COVID-19 によって加速されました。

言い換えれば、教育とは読み書きや計算の単なる訓練ではなく、複雑な世界で他者に奉仕するグローバルシティズン、いつも学び続ける生涯学習者やより良い人間になるための準備をすることでもあります。 その意味で、SDG 4 は、社会的公平性、ジェンダー、雇用可能性、イノベーション、平和、文化的多様性、包括性など、他の SDG 分野と橋渡しするための適切なプラットフォームになるポテンシャルを持っています。

このコースでは、さまざまな角度 (国連、NGO、ドナー、政府、教育者など) から実際のケースを検討することにより、SDG 4 をマクロおよびミクロ レベルで深く掘り下げ、他の SDGs への貢献の可能性、およびいくつかのスキルセットに焦点を置きます。

コースの目的

このコースを通じて、学生はSDG 4と他の分野との潜在的なつながり、およびいくつかのライフ/ソフトスキルについて実践的に洞察する機会を得ます。具体的には、この集中講義を通して、生徒は以下を達成します:

  • 学生自身の教育を反映し、自国の教育と SDGs との関連性やギャップを分析する;
  • 国際教育に関する実践的な知識を増やし、開発、人道、およびその関連性の文脈におけるパラダイムシフトの必要性に関する知見を高める;
  • 国際機関のセクターアプローチと、教育部門が他セクターに貢献する可能性や課題に精通する
  • プロジェクトの簡易コンセプトノートを準備して発表する機会を持つ

コースの手法とその結果 (よくも悪くも)

コースの手法

私の目的は、いたって単純で複雑なもの:コースの目的に沿って学生の学びを促進することです。 もちろん、自分が知っていることについて一方的に話し続けることもできたし、ある意味それが最も簡単な方法ですが、そんなやり方では学生の学びには繋がらないことは目に見えています。学びの仕組みは複雑で、学習スタイルやモチベーションも人それぞれだということが大前提だからです。

数多く存在する学びに関する理論の中でも、私が何かを教えるときやトレーニング講師はする時は、以下の学びのピラミッドモデルを一般的なガイダンスとして使用する傾向があります。

(出典:Instituto Nacional de Laboratórios de Treinamentoこちらから抜粋)

学びは各生徒と指導内容/方法によって異なるため、↑上のピラミッドは単純化しすぎている可能性があります(読書やオーディオ、デモンストレーションは、ピラミッド上では重要ではないかのように見えますが、これらも大切な学びの一部です)。

それでもこのモデルは良いガイドなので、以下のように、なるべくピラミッド上のさまざまな側面を組み合わせるようにしました。

  • 内容に関連する印象的な名言やストーリーテリング
  • SDGsと教育に関する理論
  • 関連する内容のリアルタイムデモンストレーション
  • 自発的な活動機会の提供(学生が個人またはグループで作業できるようにする)
  • ディスカッション
  • リアルタイムフィードバックの実践と提供
  • アイデアを教えたり、発表してもらったりする

うまくいったこと

個人的な観点からうまくいったことと、学生からの実際のフィードバック (ある程度客観的) をリストアップします:

  • 色んなアイスブレイクは面白かった
  • コース全体でのエビデンスの使用 (事前/事後調査、プロセス評価、リアルタイムのフィードバック)
  • 学生によると、(私が一方的に1時間話し続けた後の質疑応答ではなく)いつ何時もインタラクションできるスペースがあったことは役に立った(なかなか普段の授業ではないとのコメントも)。
  • 復習と空間記憶の使用: 復習を繰り返すことで内容をしっかり覚えることができた (クラスの最後と次のクラスの最初に、授業のハイライト的なスライドを コラージュにしてまとめ、生徒に要約してもらう活動)。
  • 内容と課題を、生徒にとってできるだけ関連性と意味があり、実用的なものにした (課題での個人的なストーリーと興味のある分野、それぞれの国でのケーススタディに結び付けた)。
  • コンテンツを消費するだけでなく、あくまで学びに焦点を置く (下記の評価結果を参照)
  • とにかくビジュアル、ストーリーテリング、名言を多く使う
  • リアルタイムのデモンストレーション (効果的でインタラクティブなプレゼンテーション資料の作成方法などを実際に示す)
  • 包括的な学びのために色々なトピックを結び付ける (物事は個別には機能しないという考えから)

うまくいかなかったこと

また、以下のようにうまくいかなかった点は、今後の改善に向けた教訓になります:

  • プレゼン中に全員のカメラをオンにすると、発表者以外が注意を払っていない場合やもぞもぞと動いている時に気が散ることがあった
  • 時間管理 (休憩): 学生はの休憩時間がもっと必要だった
  • 時間管理(内容):学生数が前回の倍になったので、内容と課題の量を減らすなど調整すべきだった
  • 時間管理 (プレゼン): 生徒による各プレゼンの時間は、最初からよりしっかり管理する必要があったが、ここが弱かった(これはファシリテーターとして重要な点)
  • 短期コースにしてはコンテンツが多すぎたかもしれない (まだまだ絞って大事なところだけに削ぎ落とすことができるはず)
  • 大学のオンラインプラットフォームがうまく機能しているかどうかを確認していなかった(システムエラーのために一部のアナウンスがうまくいってなかったが、私はあまり確認できておらず、もう少し学生サポートが必要だった)

いくつかのフィードバック/学習

以下の結果結果の概要とビフォーアフター比較によると、学生 (n = 11) の学びに繋がり、コースに対する期待に応え、高評価し、他人に推奨したい(誰にかわかりませんが)、そして知識とスキルが向上したということです。

以下は、コースのビフォー(左)アフター(右)の比較結果で、1 ~ 5 のスケール(1 = 最低、5 = 最高)で表示されています。

結果だけ見るととてもポジティブな経験に繋がったように思えますが、もし生徒が普段の学習や仕事で何らかの形で学んだことを実践しないと、本当の学びには繋がりません(こういう短期コースの課題でもある)。そういう意味でも彼ら彼女らの健闘を祈るばかりです。

また、この集中講座の講師としても、上述の授業改善の教訓に加えて、生徒のストーリーテリングや課題を通して、彼ら彼女たちの国のことをたくさん学ぶこともできました。

今回の学び

グローバルな目標 (SDGs)を教え、そこに貢献するには、色んな分野のことを繋げることで、学びはより包括的になり、教えることは一番の学びでもある。

この記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。 よい学びを!

シェア

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください