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「へー、そりゃまた、心地よさそうなリゾート島国に住んでいたんですねー。」
以前に西アフリカのモーリタニアに住んでいたと伝えたときに、多くの人がモーリシャスと勘違いして↑のようなことを言った。まぁ、モーリタニアの前に住んでいたモンゴルでは、モーリタニア もモーリシャスも全く知らなかったので人のことは言えない。唯一の共通点は「モ」がつくくらい(そして今は「モ」ザンビークに住んでいる)。
そして、このモーリ***の勘違いを受けながら何年も経った後、ついにモーリシャスを訪れることができた。結論からいうと、度肝を抜かれた。「神はまず最初にモーリシャスを創り、モーリシャスを真似て天国を創った。」と「トム・ソーヤーの冒険」の作家マーク・トウェインが言ったように、モーリシャスは魅力で満載。リゾート地であるだけでなく、島全体が多様性の塊で、自分は後者に惹かれた。結局は多様性がより良い世界をつくるための鍵であり、逆に違いを受け入れなければ、この世から戦争や紛争はずっとなくならないのかもしれない。
ということで、この記事では、モーリシャスのことを知ってもらいたい、そして多様性を促進したいという思いを込めて、ネットで手に入る情報から現地で肌で感じたものまでを、ハイライト写真のコラージュとともに紹介したい。少しでもモーリ・・・シャスと多様性を感じてもらえれば本望。
WHYーなぜ
そもそもなぜ多様性が大事なのか。簡単に言えば、多様性を通じて人は新しい世界や価値観に触れ、学び、成長するから(もちろん受け入れない人もいる)。
ではなぜモーリシャスなのか。
かつて自分が5年以上住んでいたニューヨーク等、多様性で周知されている場所と比較すると、モーリシャスは認知度が低く、訪問する人も圧倒的に少ない。 そういった穴場的な要素も加味して、少しでもこの国の魅力を伝えたいと思っている。
モーリシャス訪問は元々計画していたものではなかったが、以下の過程で実現した。
- まずは、モザンビークにいる間にもう一度子どもを連れて海外に旅に出たいという思い。生後3ヶ月から世界を飛び回っている(というより親が連れ回している)子どもが2歳になれば、航空券代がほぼ無料という特典がなくなってしまう。動物や自然好きの家族の共通点を考慮した第一希望はマダガスカルだったが、国内線が予定日に走っていないのでキャンセル。 他の選択肢を探したところ、モーリシャスが候補の一つとして浮かび上がる。
- 他の選択肢(主にアフリカ南部近郊)の中でも、モーリシャスが気になった理由として、どうやらこの国は人々、文化、食べ物がかなり多様であるとのこと。
- そこでふと、冒頭に述べたモーリ***(タニア VS シャス)の誤解を思い出し、2 つの国を実際に見てみると、何らかの話のネタになるのではないかと思った。
- そして最後の追い討ちとなったのが運命的な出会い。モーリシャス旅行の5日前、モザンビークで国を上げての教育カンファレンスに出席し、なんとそこでモーリシャスからのゲストスピーカーに出会い、意気投合。そして彼の親戚と繋げてくれて、現地で家に招待してくれたり、ローカル文化や食事を紹介してくれた(詳しくは後ほど)
WHAT ー何
モーリシャスがどこにあるのか、またその国の何がそんなに多様性に溢れているのか。世界の多様性を促進したいというビジョンを持っているにもかかわらず、何も知らなかった自分。まずは何事も全体像を見てからということで、詳細に入る前に、モーリシャスの一般的な情報、歴史、国旗についてまとめると、以下のような感じ。
- 一般的な情報(ウィキペディア)
- どこにある:マダガスカル島の東側に位置するアフリカの島国(東京都くらいの大きさ)
- 人:人口約130万人(インド人、中国人、フランス人、アフリカ人などの子孫)の多民族、多宗教の国
- 言語:モーリシャスには2つの公用語(フランス語と英語)と母国語(フランス語に似たクレオール語)が存在する。インド系の人がフランス語を話し、必要に応じて英語に切り替えるという不慣れな光景に何度も直面した。
- 以下でまとめたユニークな歴史により、国レベルで「多様性の中の統一」というビジョンをうたっており、「虹の国」とも言われている。
- どこにある:マダガスカル島の東側に位置するアフリカの島国(東京都くらいの大きさ)
- 歴史 (出典はモーリシャス航空。航空会社が国の歴史を説明している時点で意外性アリ)
- 10世紀:アラブ人、スワヒリ人、マレー人船員が島の存在を認識
- 17世紀:ポルトガル人が到着するが定住せず。その後オランダ植民地
- 18世紀:フランス植民地
- 19世紀:イギリス植民地。その後、奴隷制の廃止し、サトウキビなどの元奴隷労働力に代わるインド人の到来
- 20世紀:独立
- 21世紀:多様性を容認しながら多民族で協力し、経済発展。アフリカの数少ない高所得国の一つとなる
- 国旗 (source)
- 赤は自由と独立のための闘争。
- 青はモーリシャスが位置するインド洋。
- 黄色は島に輝く自由の光。
- 緑はモーリシャスの農業と、年中通して見られる景色の色を象徴
🇸🇳🇬🇭 🇲🇷 🇧🇫 🇲🇱 🇪🇹 🇨🇲 等、多くのアフリカの国旗は 3 色 (赤、黄、緑) を使用 (出典:Red, Yellow, Green Flag +30 Countries)。 これに青が加わることがこの国のユニークさを象徴しているとも言える(少なくともモーリタニアとの違いを発見)
↓ モーリシャスと誤解する人も多いモーリタニアの国旗。もちろん、モーリタニアにも興味深い文化的側面があるが、自分達にとって決してリゾート地ではなく、正直かなりタフな場所だった。
HOWーどう○○なのか
ここまでで、モーリシャスの「なぜ」と「何が」について、少しだけでも理解していただければありがたい。ここで、1週間という短期滞在にもかかわらず、私たち家族3人がどのようにこの国の多様性を体感したかに話をシフトしたい。
まず移動は終始レンタカー(公共交通機関(主にバス)やタクシーでは少し不便)。レンタカーの選択肢があまりにもたくさんあり、価格とサービスの点で選んだこの会社に満足。
それでは、カテゴリー別で分けた写真コラージュで紹介していく(食、自然、ビーチ、動物、文化的多様性、ブレイクダンスなど)。
まずは、いかなる旅の大きな目的の一つである食から。
<食>
- クレオール(料理教室):近い将来、世界各国の料理を学びの一貫として紹介する活動を始めたいと思っているため、どこの国に行ってもその国の料理人に教えを乞うようにしている。今回は1週間という短期のモーリシャス滞在だったので、半日の料理教室に挑戦(ネット上では滞在期間中に実施している教室はなかったので、過去の教室データに電話をかけて実現に至る)。講師は何十年も国内外の料理人として活躍しているサンディさんという女性シェフ。多文化の影響を受けたクレオール料理のプライベートクラスで、彼女のレシピ本までいただき、色んなクレオール料理を赤ワインと一緒に楽しんだ(写真ど真ん中)。 今後も料理教室を続けるかという質問に対して彼女が言ったのは、「もう疲れたので、あとはあなたが私の意志を引き継いでほしい」言ったので、少なくとも今回学んだ料理(ナスの揚げ物、トマトソーセージ、ハヤトウリサラダ、等)に関しては広めていきたいと思う。
- クレオール (地元一家のローカルプレート):モザンビークへの旅行の数日前に出会った方のおかげで、モーリシャスの家族の家で地元のクレオールのランチを食べる機会もあった(写真真ん中上)。家庭菜園でとれた豆や野菜を、スパイスをきかせて味付けして堪能。
- インド料理:もともとインド料理が大好きなので楽しみにしていたが、興味深いことに、モーリシャス系インド料理はインド料理ほど辛くない。上記の料理教室の講師に聞いたところ、モーリシャス人は元々のインド料理よりもチリパウダーの使用量がはるかに少ないとのこと。結局は大多数はインド系であるものの、島国の中で変化していったことがわかる(写真下ー左)。
- 中国系: 中華料理もいくつか食べたものの、これもいつも慣れ親しんでいる中華料理よりも味がマイルド。 中国の餃子を「boulette-ブーレット」(フランス語でボール)という名で販売されていた(写真真ん中下)。
- フュージョン : 色んなレストランにも行ったが、とにかく上記のすべてが良い意味で混ざっているような印象で、とても美味しかった(写真真ん中ー左右)。
- フードツアー:地元のフードツアー に参加し、3時間かけてたくさんの屋台の食べ物を食べてお腹いっぱい(赤ちゃんが乗ったベビーカーを押しながらの参加はなかなか大変だったが、それはそれで楽しかった)。
<自然>
- 「水の中の滝ー”Waterfall in the water”」:モーリシャスの観光写真だと必ずといって出てくるこの場所。海の中に滝があるように見える(自然の錯覚効果)のを、ヘリコプターに乗ってみるというもの。これは只々素晴らしかった。(写真左上)
- シャマレルの七色の大地:七色の大地は、ペルーやアルゼンチンんなど他の国にもあるが、ここも見どころがあった(写真右上)。ただ、グーグルに出てくる画像は実際よりも色味が鮮明であるので注意。
- 虹:「虹の国」とはよくいったもの、多様性を促進しているだけでなく、雨と晴れの変化が激しいこの国では色んなところで虹を見ることができた。
- 植物園:通称「血まみれの木」(写真真ん中下)やユニークな植物(写真ど真ん中、右下、右)などがあった
- 車からの景色:なんてことない普通のビーチや島の景色だけでも見事なものだった。これはレンタカーの利点でもある。
<ビーチ>
この小さな島には、フリック アン フラック、ブルー ベイ、グラン ベ、モン ショワジーなど、多くの美しいビーチがある。朝日や夕日のビーチの風景はただただ美しい。
<動物>
Casela Nature Parkは、アフリカンサファリ(ケニアのマサイマラなどのメジャーサファリに比べると規模は小さめ)、キリンの餌やり、ゾウガメ、鳥、コースターなど、見どころ満載だった。
また、ブルーベイビーチの近くでシュノーケリングをしたとき、ウミガメを見たり触れたりすることができた(船頭さん曰く、ウミガメに会えるのは20%の運だそう)。 そして、少なくとも3か所でゾウガメを見ることができた(てっきりガラパゴス諸島だけだと思っていた)。
本で動物が大好きな娘は、本物の動物を見ることができ、とにかく色んな動物を見ては名前を呼び続けていたのが印象的。
<ブレイク> 
さて、ここで少し休憩(ちなみに「ブレイクダンス」の起源は、音楽の間奏(ブレイク)時間に披露されたダンスである)。
20年以上前にダンスを始めて以来、世界のどこに行ってもブレイクダンスの動きと一緒に写真を撮るようになった。 写真左上の動きは「タートルTurtle」という動き(象亀と一緒に)。真ん中にあるのは「チェアー(椅子)」と呼ばれており、大きな椅子の上でこれを行うとは思ってもいなかった。 写真下は、モーリシャスの美しい海 (左)と、大人もワクワクする逆さまエンターテイメント “Curious Corner” (右) にて。
<多様性>
最後はモーリシャスの文化的多様性のハイライト。
多様な文化が共存している具体例を紹介したい。まず、朝にイギリス要塞(フランス侵攻を防ぐために作られた)を眺めた後、チャイナタウンで飲茶やアートを堪能。その真横にある大きなイスラム教のモスクを通り過ぎ、そこから少し車で移動して、通り道には美しいヒンドー教の寺院、鮮やかな赤い屋根のローマカトリック教会もある。中央マーケットではさまざまな産地のスパイス、野菜、果物を販売しており、活気に満ち溢れている。とにかく多様なモーリシャスの魅力に圧倒された。
参加したローカルグルメツアーのガイドが教えてくれた、中華街にまつわる印象的な話がある。まず、チャイナタウンは世界中のどこにでもある(それは世界を旅して肌で感じた)。ただ、中国自体が大きすぎるため、同じ国でも他地域出身の人々はあまり団結しない傾向にあるが、モーリシャスでは違うとのこと。というのも、この小さな島国ではインド系、アフリカ系、ヨーロッパ系、イスラム教徒など、あまりにも多様性に満ちているため、これはまずいと思った中国出身の人たちが団結することを決めたとか。
その象徴として紹介されたのが、チャイナタウンのグラフィティー(壁の落書き)エリアには、パンダとともに深く興味深いフレーズが描かれていた(写真:左上)
DESTROY RACISM. BE LIKE A PANDA. I’M BLACK, WHITE AND ASIAN.(人種差別を無くそう!パンダのようになろう。私は黒人であり、白人であり、アジア出身でもある)
パンダを見習って人種差別をなくすというのはなかなかユニークな発想である。調和を保ちながら暮らしを続けるモーリシャスの人々から学ぶことはたくさんある。この国は多様性を受け入れ、経済的にも発展を遂げ、2020年にはアフリカで数少ない高所得国の一つにもなった。違いを受け入れ、皆で協力すると、経済も潤うという良い例である。
モザンビークから繋がった現地の人は、観光客としてはなかなか見れないような地元の文化や考え方を共有してくれ、多様性を促進するためにさまざまな言語の絵本を集めていると伝えたところ、クレオール語の絵本もプレゼントしてくれた。お世話になりっぱなしで、自分にできることはモーリシャスの良さを少しでも伝えることかと思った。
地元の伝統的ダンス(Saga Dance)を見れなかったり、食べたい料理や見たい場所もまだあったが、今回の旅では色んな学びがあった。数年前の油漏れの事件についてもう少し深掘りしたかった。もうすぐ2歳になる娘はおそらく何も覚えていないだろうが、ここで触れ合った自然、動物、多様性の何か一つでも無意識レベルでも感じ取ってくれていれば親としても嬉しい。
今回の学び
モーリシャスへの訪問で様々な要素(自然、動物、文化、食べ物、人々)を楽しみ、多様性によって人は成長し、学び、より良い世界を作ることができる大事な役割を担っていることを再認識することができた。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。よいまなびを!
MD