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学びの数だけストーリーがある。
海外で暮らしてからは常に何らかの言語を学んできました。ニューヨークでスペイン語を学び、チリでフランス語を始めたというような話をすると、変わってると言う人がいますが、個人的にはそれぞれの言語学習のストーリーが理にかなっています。 本記事では、ポルトガル語の学習に関するストーリーと、ヨーロッパのポルトガル語試験 CAPLE C1レベルに合格するプロセスから学んだことを紹介します。
ポルトガル語学習のストーリー
どのように無視し、そして最終的にポルトガル語に会ったか
10年前、ブラジルに観光客として初めて行きました。 当時は既にポルトガル語の姉妹言語であるスペイン語を問題なく使うことができていましたが、ポルトガル語でコミュニケーションをとることができませんでした。この時は学ぶ意欲などゼロ。
4年前にポルトガルに行きました。料理が美味しく、街並みもユニークで面白かったのが印象的でした。ただ、こっちのポルトガル語はさらに難解で、ずっと英語でやりとりしていました。学ぶ意欲、引き続きゼロ。
3年前に、ユニセフの仕事でケニアに行きました。仕事内容は、ポルトガル語圏のアンゴラとモザンビークの2カ国を含むアフリカの21カ国をサポートすることです。それまでいたモーリタニアを出た時にフランス語はそろそろ一段落ついたかと思っていたので、次の目標として、出張に行った時でも使えるように、ポルトガル語を学んでみようかなと思いました。アンゴラでもモザンビークでもどちらでもよかったのですが、同僚から後者の食べ物がアフリカの中でも特においしいと言われたときは、ググッとモチベーションが上がりました。
21カ国のうち、上司にモザンビークのフォーカルポイントにしてくれませんかと頼みましたが、ダメだと言われました。ただ、その上司が離任することになり、そのギャップを埋めるために事実上モザンビークのサポート役に回りました。とにかく同国への出張にいきたいという野望も持ちながら、最善を尽くしました。そして念願の出張がついに実現することになったとき、COVID-19 によって全てキャンセルされました。 その後、新しい任地の仕事に就き、アフリカを離れ、ポルトガル語に対するやる気も消失し、焦点を中国語などの他の言語に移しました。
そして2021年の年末、モザンビークでの就職先が公募に上がっていたのを見て応募し、それまで冬眠していた学習欲と食欲が復活し、ポルトガル語の独学を再開しました。
そして昨年(2022年)の6月にブラジルに短期で行ったのですが、今回は簡単な会話ができてモチベーションがさらに上がりました(詳しくはブラジル、レンソイスで叶えた10年越しの夢と言語学集)
その1 か月後、人生初のポルトガル語圏であるモザンビークに住むようになりました。 アングロフォン(英語圏)とフランコフォン(仏語圏)に対して、「ルソフォン」(ポルトガル語圏)という言葉があることすら知りませんでした。
別のポルトガル語
ケニアでポルトガル語の勉強を始めたとき、ブラジルのポルトガル語の教材が広く利用できるようになっていました (ポルトガル人口が約1000万人に対してブラジル人口は 2 億 1000 万人超なので、理にかなっているかもしれません)。
正直、モザンビークに来るまで、ポルトガルとブラジルのポルトガル語がこんなに違うとは知りませんでした(モザンビークのポルトガル語は前者寄りです)。 たとえば、トイレは banheiro (ブラジル) vs casa de banho (ポルトガル)、朝食は café de manhã (ブラジル) vs pequeno-almoço です。 さらに複雑なことに、同じスペルでも発音が結構異なります。
それまでに学んだ西語と仏語のスキル (両方ともラテン語起源であり、ポルトガル語も然り) は、特に会話レベルでポルトガル語を使用するのに役立ちました。 西語は特にポルトガル語に近いですが、時には全く違う単語などもあるので要注意。例えば「忘れる」ならolvidar (スペイン語) と esquecer (ポルトガル語) 、「妊娠」ならembrazada (スペイン語) と grávida (ポルトガル語) のようなものです。アクセント記号もポルトガル語には多く、少し厄介です。
そんなこんなで、モザンビークに来て 2 か月が経った頃、ポルトガル語のスキルを向上させたいと思い、言語試験を探し始めました(試験で本当の言語レベルが評価されるとは思いませんが、以前の投稿「自分自身を高め続ける方法」にもあるように、試験は自分自身をプッシュする良い方法の一つです)。
ブラジルのポルトガル語が個人的には好みだったので、Celpe-braの情報を探しましたが、2022年の分はもう既に募集がないとのことで、ポルトガル版の試験CAPLEしかありませんでした。
CAPLEの特徴とコツ
試験レベルの決定
前述のCelpe-Brasは、全員が同じテストを受け、結果によってレベル分けがされるようですが、CAPLEは事前に受けるレベルを決めて申し込まないといけません。とにかくCAPLEに関してネット上にある情報が不足しているため、自分がどのレベルに適しているかを判断するのは困難でした。そこで、試験の申し込みをする前に、3つのレベル(B1, B2, C1)のボギテストを行い、その時点でのレベルはB1 と B2 の間のどこかだろうという判断をしました。 試験まであとたった1ヶ月か、それともまだ1ヶ月もあるかは考え方次第(グラスの水半分満腹か半分空っぽか。試験に合格しなくても、学びはあっても失うことはありません。 だから、より近いゴールを目指す(B2)のではなく、より遠くを目指す(C1)ために自分自身を追い込むことにしました。
ちなみに今回合格できたC1は、英検のレベルに換算すると、英検1級だとのことです(参照)。
CAPLEの構造
CAPLE には CEFR (Common European Framework of Reference)の6 つの異なるレベルがあります (上の絵でそれぞれのレベルの概要が記載)。 各レベルの試験は、以下の 4 部分で構成されています。
(1) リーディング: Compreensão da Leitura
(2) ライティング: Produção e Interação Escritas
(3) リスニング:Compreensão do Oral
(4) スピーキング: Produção e Interação Orais
TOEFL (英語)、DELE (スペイン語)、DELF (フランス語)、HSK (中国語)、JLPT (日本語) など、他の言語にも同様の試験があります。
実践的な準備
私の場合、準備期間が 1 か月しかなかったので、短期間で改善できることに重点を置きました。 日常生活でリスニングとリーディングに触れながら、ライティングとスピーキングにより多くの時間を費やしました。 以下に、各セクションのヒントをいくつか示します。
(1) リーディング: Compreensão da Leitura (90分)
このセクション対策としては、仕事や家でより意識的にポルトガル語の文章を読むようにし、新聞も毎日読み始めました。
(2) ライティング: Produção e Interação Escritas (90分)
このセクションについては、ネイティブに校正を依頼してできるだけ書きました。 DAPLE (C1 レベル) には、(a) 主に手紙、(b) 自由作文、(c) 文章の言い換え (文法) の 3 つの筆記問題があります。最初の2題には200 ~ 230 語が文字制限で、練習だけでも色々なトピックについて 3,000 語以上を書きました。
(a) 手紙については、どんなアイデアでもこの形式に入れることができるように、いくつかのテンプレートを作成しました。
- レター形式:para(誰のために)、de(誰から)、assunto(件名)、data(日付)
- 冒頭: Exmo/a. Senhor/a
- 目的: Je venho por este meio solicitar XXX
- パート 1: Primeiro que tudo, por exemplo,
- パート 2: En segundo lugar / Tambam …… Por exemplo,
- パート 3: En terceiro lugar, ……Por exemplo, …..
- 結論: En conclusão / Para concluir / Para resumir、…..
- 最後に: Agradeço antecipadamente a sua atenção sobre o assunto. Atenciosamente, XXX
(b) 自由作文については、上記とよく似ていますが、もう少しフレキシブルです。
- 冒頭:明確な意見を述べる
- パート 1: Primeiro que tudo, por exemplo,
- パート 2: En segundo lugar / Tambam …… Por exemplo,
- パート 3: En terceiro lugar, ……Por exemplo, …..
- 結論:En conclusão / Para concluir / Para resumir、…..
(c) 文法については、模擬テスト問題で特徴と傾向を見ることができます。仮定法やその他の形式のフレーズを使用する能力が求められます。
(3) リスニング:Compreensão do Oral (40分)
まず、ヨーロッパのポルトガル語のポッドキャスト、ポルトガル語のNHKワールド(ブラジルのポルトガル語)、ポルトガル語のオーディオブックを積極的に聴いていました(購入後に気づいたのは、どれもブラジルのポルトガル語だったこと)。 また、ポルトガルのアクセントに慣れるために、ポルトガルの Web ニュースもいくつか見ました。 色々試してみましたが、このセクションを短期間で改善することはできないことに気付いたので、あまり集中しないことにしました。
(4) スピーキング: Produção e Interação Orais (25分)
CAPLEのスピーキングのセクションは、他のヨーロッパ語学試験とは違い、出題範囲が広く形式も決まっていないので、準備が大変でした。 上記のライティングのサポートをして頂いた講師にも手伝ってもらいましたが、とにかく同僚や友人とできるだけ話すように努めました。
集中的な取り組み
試験合格という具体的な目標に向かってスイッチオンできるよう、集中して取り組むことが重要です。「そんなもんわかるわ」と言いたくなるかもしれませんが、ダラダラして勉強してもあまり効果的ではないかと思っています。
心の準備
たった数か月前にモザンビークに住み始めた自分がまだまだ未熟なのはわかっていたので、とにかく自分自身に言い聞かせ続けました: テストは非完璧主義者のために作られている! 以下の通り、100 点中 55 点以上を獲得した場合合格となり、証明書ということに関しては、55点も100点も同じ扱いになります:
85-100%:とても良くできました Muito Bom
70-84%:良くできました Bom
55-69%:十分 Suficiente
時間管理
まず大事なのは仕事をしながら勉強をする時間管理。空き時間を見つけて「とにかく今日はこれをする」という事前に決めておいた目標に向かって時間を使うこと。
そして次に試験中の時間管理。各セクションの時間が固定されていますが、現在のスキルと割り当てられた時間に応じて、どのエリアにどれだけの時間を費やすかを準備できます。 リスニングとスピーキングについては、ほとんど制御できません。 リーディングについては、各パートの難易度にもよりますが、最初のパートだけにとらわれず、時間に余裕を持ってパート毎に適宜進んでいくことが大事です。
ライティングに関しては時間管理が大変で、以下に配分して本番に挑むようにしました。。
- 20分: 文法セクション (最後の部分) を最初に取り組むことで、実際の執筆に頭を使うことができます
- 30分:手紙
- 30分:エッセイ
- 10分:見直し
リスニング(最も難しいパート)でのアクシデント
試験中は、別のメンタル エクササイズが必要でした。 リスニングテスト(一番難しい部分)では、理解するのが難しくて「もうダメだ」と何度も思いましたが、とにかく深呼吸をしてできることをしっかりやることを意識しました。更に悪いことに、モザンビーク人の試験官が途中で部屋を退出し、携帯電話を部屋に残していったようで、非常に大きな着信音が鳴り始めました。 これまた少し瞑想し、何とか落ち着くようにしました。毎日瞑想していてよかった、と切に思った瞬間んでした。
次のステップ
正直なところ、今回はダメだと思っていたので、結果を見た時は気持ちに灯火がともりました。合格点でもボーダーギリギリ(suficiente)、それでも十分すぎるくらいです。もちろん、結果がダメでも、十分学びはあったので、次に向かう心の準備はしていました。
言語試験の資格だけで言えば、私がこれまでに取得したのは仏語C1、ポルトガル語C1、スペイン語C2、英語C1相当(TOEFL 105点)です。そろそろ次の言語学習の旅に進み、新しい目標を設定します。 語学試験の勉強は短期間ですが、学日自体は生涯続くプロセスです。 言語レベルを気にしすぎるのではなく、使って学んで楽しむことが一番大切なのかなと思います。
今回の学び
学びには結果より過程が大事だが、(ポルトガル語試験CAPLE C1合格のような)結果が出ると、生涯学習というプロセスの中でモチベーションに繋がり、次の目標に向かうための後押しにもなる。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。良い学びを!